無敵。
ススキノはもはや庭。
どうも! 桃栗三年刃牙八年、ススキノの父です。
……とまぁ、
ススキノに店を構える酒屋で配達員として働くこと10年になります。
そんな身分で街中をブラブラしているとですね、結構な頻度で道を聞かれます。
この地の住人としては単純明快なエリアなんですが、来慣れない方からすると乱立するビル群に方向感覚を狂わされてしまうみたいですね。
と、
『良く道を聞かれる』とだけ聞くと、ワタクシが善人全開みたいだと捉えられてしまうかもしれませんが、そうではなく酒屋前掛けをして台車を押すという出で立ちがまんま
業者っす!
という雰囲気を出しているからでしょうね。
冷静に考えるとポケットが一つもなく、普通のエプロンと違い汚れからも腰から下しか守れない何のために巻いているのか不思議な布ですが、締めると不思議なことに気持ちが仕事モードに切り替わるんです。
で、
ススキノには魚や、八百屋、花屋等々、色々な配達業者がおり、めいめい飲食店に出入りはしておるのですが、ワタクシが知る限りでは一番多くの店に行っていると思います。
そりゃまぁ酒というものは、ほぼ全ての店で扱ってますし取り扱いの無い性風俗店にですら、お茶や氷を配達することもあります。
その他、
周年のお祝いでシャンパンやビールを運ぶことがあり、普段は別の酒屋を使っており取引が無い店にも行くことがあるので、訪問軒数だけで言うと酒屋がダントツなんじゃないかと思ってますよ。
と、
酒屋前掛け、これを装着していると普段はまず関係者以外入らないであろうところに立ち入っても何も反応はされません。
まぁ、呼ばれているので当たり前っちゃあ当たり前ですがね。
今ではもう慣れてしまいましたが、入ってびっくりしたのが高級クラブのバックヤードですよ。
これは部外者が見ちゃいけないだろー、と思ったのが
女の子の売上ランキング。
色々な角度で書かれた生々しい数字が並んだ表を目にした時はもう、軽くパニックを起こしかけました。
そうですね、後は
開店準備中のコスプレバー。
そこにはお祝いのビールを届けに行ったのですが、ノックをしたら声がしたので普通に入ってびっくり、働いている女の子がトランスフォームの真っ最中でした。
さすがに業者とはいえすっぴんを見てしまうのはいかがだろうと思い慌てて一旦外に出ようとしたら女の子の一人に言われました。
『あ、酒屋さん、気にしなくていいですよー』
他の女の子もワタクシのことはチラリと見るものの気にする様子は無く。
まぁ他に、ここでは書けないような一般の人が目撃したら色々とヤバ目(とはいえ合法)の所に遭遇したこともありますが、前掛けのお陰なんでしょうね。
前掛けって偉大だわぁ……
そんなお話。