尊厳。
これは10年前のお話。
どうも! 日々是ダイエット中、ススキノの父です。
当時、営業マンだったワタクシ、数字に追われる生活の中、仕事のストレスから食に走りましてね、朝はご飯三合、営業車の中で弁当を二人前、デザートはポテトチップス。
帰宅後は晩御飯の後、バタピーをつまみにビールを浴びるように飲む生活を一年間続けていたところ、ものの見事に体重が
+10kg。
爆食をすることでストレスを発散し続けていたのですが、とうとう精神が悲鳴を上げ、しかるべき施設に通院することになりました。
そんなワタクシを会社は救ってくれるどころか、当然のように解雇を言い渡されたのですが、『労基に行ったら承知しないからな』とクギまでさされ、自己都合退社という形をとらされた挙げ句、一ヶ月の給料より多い謎の罰金を課し
あっさりと捨てよりました。
それからも地獄が続きました。
最初の半年、布団から出ることが出来ませんでした。
ホント、鬱病というものはなってみないと、その辛さはわかりませんね。
自身もそれまでは理解できませんでしたが、親族の中でも病気を理解出来ない人がおりまして、さんざん
『動けない? 気持ちの問題だろうよ、何甘えたこと言ってんだ?』
なんて罵声を浴びせられたこともありますよ。
とはいえ、幸いなことにワタクシの周りには理解してくれる人に恵まれたのと、状況を見かねた親から生活するためのお金は援助して貰うことができました。
加えて嫁が仕事を続けながらも親身に治療に付き合ってくれたため、自分の人生を終わらせるという最悪な結果は何とか免れることが出来ましたとさ。
と、
一日中動いていないにも関わらず腹は減るんです。
仕事のストレスを発散する方法として『食べること』を選んだからでしょう、食への執着だけは残ってしまったんですよね。
その頃はもう爆食が加速し、食べるときには一回で5合という時もありました。
頭では『この状況はヤバい』とは理解してはいるものの、止めることが出来ないんですよ。
簡単に言うと流されたらいけないと解っていつつも欲望から逃げられない。
感情のコントロールが効かなくなるんです。
当時の食事は朝と晩は嫁が作ってくれたので良かったのですが、問題は昼ですよ。
相変わらず飯とトイレ以外、布団から出ることは無かったため、最小限の行動で腹一杯になりたい。
で、辿り着いたのが米と
納豆。
無洗米を使っていたため米を5合入れて水入れてスイッチ押すだけ。
食べた事実を隠したいので(隠しきれていないのですが)洗い物を極力減らしたい。
で、ワタクシが取った行動は
内釜に納豆3パック投げ入れシャモジでかき回しそのまま食べる。
当然、箸も洗いたくないのでシャモジが匙代わり。
おおよそ文化人の食事じゃあないですよね。
そんな生活を約半年、当然ながら体重も増えに増え
更に+10kg
一年半で体重は見事に20kg増。
そんな生活も必ず終わりを告げます。
とある日、
いつものようにシャモジを匙代わりにご飯を食べていたところ、たまたま早上がりした嫁に目撃されました。
しばし流れる沈黙、慌てたワタクシは言いました。
「あ、いや、それはその、洗い物減らそうと思って」
その言葉に嫁はため息をつきつつ返します
『オット、ちゃんと茶碗に移して食べようよ。食べるなとは言わないし、洗い物ならアタシがやるから。人間の尊厳だけは守ろう?』
いやはや、ごもっともでございますし、ワタクシを見つめる悲しげな瞳に『このままじゃいけない!』と目が覚め、本気で職探しをしたところ、見つけたのが
ススキノの住人。
この地は意外とワタクシの肌に合っていたらしく、みるみる心の健康を取り戻しました。
その後、現在の『ひいじいCAFE』開業が具体的になったのを期に一念発起してダイエットに励み、それまで増えた体重以上のダイエットにも成功いたしまして今に至ります。
件の暗黒の一年で納豆を一生分食べたような気がしますが、未だに大好きです。
納豆ってすごいわー。