キッカケ。(後編)
『あれ? もしかして……』
どうも! 下手くそですが本業はドラムと言い張っているススキノの父です。
前回の続きなので、見ていない方はそちらからどうぞ。
というわけで後編始まりますよー。
「ドラムどうするよ」
ワタクシがギターボーカルを受け持つとするのはしょうがないとして、さすがにドラム無しってのは考えられないぞ。
そんなことを思い悩んでいると友人が『ちょっと心当たりがあるから時間をくれ』そんなことを言っていたので任せることにしました。
ライブまで一週間に迫った頃でした、いつものように部室に行ったところ友人の横には見慣れない女の子が居たんですよ。
それからワタクシに気づいた友人が、『おー、来たか』と言いつつ彼女の紹介をしたんですよね。
『最近入部したんだけどさ、ドラムやりたいって言ってたから来てもらった』
おぉ! 仕事が早い!
「で、そちらの方は経験者?」
そんなワタクシの問いに
『いや、未経験。ただやりたいって言ってるの聞いてたから誘ってみた』
話を聞くとスティックすら持ったことが無いそうな。
……マジかい。
いやでも! 素人集団のワタクシ達にはピッタリのメンバーかもしれぬ。
それにドラムなら多少覚えがあるので自身が教えればいいだけの話ですしね。
メンバーさえ決まれば結果どうにかなるだろうという、ぼんやりとしたビジョンだけはありました。
何故なら今に至るまで仲良くしている先輩にライブ後
「めっちゃ良かったですよ!」
なんて言うと必ず返ってくるのは
『いやいやそんな、めっちゃミスするわ展開飛ぶわで散々だったよ』
いや、そうかぁ? 堂々と演っていたし、ミスなんて見当たらなかったけどなぁと常々思いっていたことが、この絶望的な状況を打開することが出来るヒントとなると。
早速ワタクシ、タワレコに足を運びパンクロックのオムニパスCDを買ってきました。勿論洋楽です。
オムニパスってのは今までも経験上、アーティストはバラバラなのですがヒット曲や代表的な曲の寄せ集めなので、ライブ映えするかと思っての事です。
そしてもう一つ大事な事、自身が選ばないといけない演目は、その中でも部員全員が『誰やねん!』っ言いそうなアーティストにすることです。
そう、
誰も知らないなら思いっきりミスってもわからない。
コードが違おうが、歌詞を間違えようが平気な顔をして弾いていれば聞いている人には『そんな曲調なのか』って思ってくれるだろうと。
そのまま時は流れライブ当日、三曲ほど演りましたがギターの演奏は※パワーコード、歌詞は完全に覚えられるはずもなく、それっぽく歌うという力業でゴリ押しましたが
誰にも気づかれない。
むしろ『良かったよー』と言われる始末。
それから二年間ほど、そのメンバーでバンドを組みましたが残念ながらワタクシのギターの技術は驚くほど向上しなかったんですよ。
その代わり、無駄に上手くなったのが
ごまかしの技術。
まぁ、プロ目指しているわけじゃないですしね。
その場が盛り上がればいいんです。
あれから20年、今では店でお客さんリクエストで弾き語りをしますが、ギターの技術が上がったかといえば、コード弾きが出来るようにはなりましたが正直なところ
いや全然。
とはいえ、ごまかしの技術だけは物凄く上がりましたよ。
パワーコードはコードの構成音から「ルート」の音と「5度」の音だけを弾くギター奏法のことです。
メジャーマイナー考えることをしなくて良いのと、押さえるところが二つしかないので、ギター持ったことが無い人でも5分で弾けます。