ヤムニヤマレズ。(後編)
どうも! ススキノの父です。
前回のお話はかいつまんで言うと
『どこに行ってもイジメに遭うので一人で稼ぐ道しかないよね』
って内容でした。
独立開業
一般的には『自分が理想と思う商材をお客さんに提供して喜んでもらうため』とか『その道を極めつつあるので雇われているよりも稼げるから』とかとか、少なからず理想や野望を持って独立するのだと思います。
ホント、ワタクシもそうだったらナンボほど幸せだったか。
ですが、自身の場合は
やむにやまれず
ですよ。
後編まできて、やっとタイトル回収ですね。
ワタクシがススキノでバーをやろうと思ったのは、酒屋の配達員をして色んな店を見た経験からです。
それは
定年が無いということ。
体が言う事きくうちは現役、ワタクシが配達する店のマスターに70歳オーバーでバリバリ働いているという方も実際にいらっしゃいました。
ワタクシの場合、人より秀でた能力が無い上に退職金や年金が望めないのなら自分の食い扶持は自分で稼がないといけないわけですね。
で、
水商売をするなら、どこかで経験を積んで、ある程度お客さんを持った状態で始めるというのが一般的です。
とはいえワタクシ、ただの酒屋、しかも水商売の経験も皆無ですよ。
ですが、そんな状況でも生き残らないといけないわけです。
じゃあ何を売るよ、
って話です。
考えていた時、逆転の発想が浮かびました。
それは自身の特性
どこに行ってもイジメに遭う。
イジメに遭うってことは何かしら悪目立ちしているってこと。
会社に所属している身分ならイジメに遭って嫌な思いをしても月給や時給は変わりません。
ですが、店としてカウンターの中に居れば、イジメてやろうと扉を開いた途端、
お金が発生するんですよね。
長年、自身を苦しめてきたマイナススキルがカネを稼ぐ手段となるんです。
それを軸に店の方針を決めて行くこととなりました。
後は全てオマケです、バー経営については正攻法で戦えないなら変化球を投げ続けてやろうと思いました。
幸い、
仕事柄、ススキノを歩き回っていたこともあり、この地域に無いオンリーワン的な店作りをすることは難しいことではありません。
まずは、
世間的に禁煙ブームなのにあえてタバコ飲みの楽園を作るということ。
自身、手巻きタバコを嗜んでいるため、お客さんの中には『電子でスミマセン』と言われる方もいらっしゃいます。
そんな方にいつも行っているのがワタクシとしては
煙が出れば皆兄弟ですよ。
自身、趣味に関して変なこだわりはありませんし、本人が好きならそれでよしです。
コアな趣味をしている方って一般的に妙なこだわりを持ち、自分と価値観が違うからといって、他人を攻撃する方がいらっしゃいますが、それはどうかと思っております。
あと、
当店は一般的に格式が高いと言われるウイスキーメインのショットバーなので、一般的に飲み方はストレート、ロック、あとはトワイスアップですよね。
でもね、ワタクシ的には高い酒だろうと炭酸ぶち込もうがコーラぶち込もうが、
本人が美味しいと感じればそれでよし。
という、タバコに関しても酒に対しても緩く緩く楽めばいいじゃん、キッカケは伝えたから後々極めたいと思った時は各々で頑張れ! と、放流するというスタイルを取るという
ひいじいCAFEが出来たわけです。
……とまぁ、長々と語ってきましたが、開業をして一つ、予想外だったことがあります。
当店の軸である
イジメてやろう目的のお客さんからカネを取る。
っていう大前提が覆されてしまったこと。
場所柄でしょうか、当店はススキノの深いところの上、中道から更に路地裏に入るという、いかにもコアな所にあるため、来店られる方に
おかしな人が居ない。
それもあって開業してから嫌な思いをしたことはゼロではありませんが、年一回あるかないかなんですよね。
と、
そんなスタンスで続けて明日で丸5年続けることが出来ました。
今後ともよろしくお願いします。
ヤムニヤマレズ。(前編)
独立開業とは夢がいっぱい。
どうも! ススキノの父です。
ワタクシ、開業してからというもの学生時代や昔所属していた会社の先輩後輩という旧知の方が来店された際、よく言われたのが。
『自分の裁量次第でカネを稼げる一国一城の主ってカッコイイよな』
って。
いやまぁ、気持ちはわかります。
ワタクシとて開業なんて微塵も考えていなかった頃は漠然と経営者ってカッコイイ! なぁんて思ってましたしね。
それにそもそも、
自身、そういったイメージを持ちながらも開業する気なんて更々ありませんでした。
大学を卒業間近、将来的なビジョンとしては福利厚生がしっかりついた会社に雇われながら、決まったサラリーを毎月きちんと貰い、定年後は年金で細々と暮らすというつもりで動いておりました。
ですが、
蓋を開けたら1~2年で職を転々とする日々。
自身としてはどんな仕事であろうとも腰を据え、じっくりと経験を積みたかったのですが、それを阻んだのが
イジメ。
ワタクシ、前世で大罪を犯したのか、どこの会社に行っても必ずといって良いほどイジメに遭いました。
肉体的なものから精神的なものまでなんでもござれ、イジメのデパート、イジメの博覧会、ありとあらゆるバリエーションの嫌がらせを受けました。
職業訓練校時代、講師からのイジメってのも経験しておりますよ。
とはいえ、
『イジメられる方にも問題がある』
なんて言われたこともありますし、理解はしております。
えぇまぁ、確かにそうかもしれませんがイジメを肯定する理由にはなりませんよね。
とまぁ、
そんなこんなで職を転々とする中、31歳の時とうとう精神的に限界が来てしまいました。
そう、
うつ病の発症です。
厄介払いがしたかったのか、病気を理由に会社をクビになりました。
当時の上司は会社にキズをつけたくないというのが見え見えで、弱っているワタクシに付け込みつつ言いくるめ、自己都合退社扱としたので何も保証は出ず。
それだけならまだしも、謎の罰金を科せられ、ゴミくずのように放り出されてしまったんですよね。
とはいえ、
幸運だったのが妻の献身的な看病と、実家の援助で何とか生きてゆくことは出来ましたが、布団から出られなくなり一年間のニート生活をしておりました。
その間、ぼんやりと考えていたことがあります。
このままいったら老後は夫婦揃って野垂れ死にだろうなぁ。
……。
人によっては『人生に必死になってないからそうなるんだ!』とか『とんだ甘ちゃん野郎かよ』と思われるかもしれませんね。
そして、この時に漠然と会社の煩わしい人間関係が無い『独立開業』という道を考えておりました。
その後、
昔勤めていた会社の後輩から知り合いが居るススキノの酒屋で人足りないって言ってるからリハビリ的に仕事しませんか? という話が来てススキノへ。
仕事は楽しかったのですが、またしてもビルの壁に悪口を書かれる、知らないうちに通勤鞄をゴミ箱に捨てられるというガキの所業に似たテンプレ的なイジメに逢いました。
またこれか。
どこに行っても一生イジメに逢うのか。
こうなったら漠然と考えていた独立開業の道を現実にしないとな。
酒屋の経験上、開業に必要な資金と運営費がどれだけかかるかは何となく数字は揃っている。
とはいえまだデータが足りない、
一年間のニート生活をする間、仕事に関してがんばらないと決めたワタクシ、さっさと逃げ出すことにしたものの、ススキノという場所と酒屋の仕事は妙に自分の肌に合っていたのとデータ集めのため、ここから離れたくないなぁと思っていたところ、同業ということもあり前々から顔見知りだった現在勤める酒屋の社長に配達中ばったり会ったんです。
『おう! 元気にしてるか?』と笑顔で話しかけてくる社長を見て咄嗟に言葉が出ました
「……社長のところ、空きありますか?」
親と子くらい歳が離れていたためなのか、ワタクシが切羽詰まった顔をしていたのか知りませんが、何かを察したのか社長は根掘り葉掘り聞くことなく一言だけ
『そっかわかった、俺ンところで良ければ来るか?』
その言葉に当時勤めていた会社に辞めることを告げ、数日後に社長と面談しました。
開口一番
「二年後に独立開業したいので、二年間だけ置いてください」
という、今考えたらとても失礼極まりない事を告げるワタクシに普通なら怒り出すところですが、社長は笑顔で言いました。
『二年間しっかり勉強したらいい。酒メーカーとのツテも俺が作ってやる。安心してウチに来い』
この言葉がワタクシにおける人生の転機となりました。
……後編に続く。
一人の男がバーのオーナーになるまで。最終回
一人の男がバーのオーナーになるまで。 その20(後編)
一人の男がバーのオーナーになるまで。 その20(前編)
【date:2015.10.25】
いやはや懐かしい、プレオープン直後の投稿ですね。
この日のことは今でも鮮明に覚えておりますし、イベントに対し、この場で綴った感情は全て
ウソです。
断言します、ウソです。
来てくれた方がFacebookを見ているので体裁だけ取り繕うために良いことを書きました。
この日のことは5年経った今でも思います
無 意 味。
……どうも、ススキノの父です。
いやでもね、これはワタクシの場合です。
店の規模や従業員の有無、あとは店主のキャラによっては非常に意味のあるイベントになる可能性を否定したわけではありませんのであしからずですよ。
ってなわけで、
その理由を前・後編に分けて書いてゆこうと思いますよ。
これから人を使わず人脈が無い状態でスナックやバーを開業しようと思っている方に必見な内容となっておりますよ。
一人の男がバーのオーナーになるまで。 その19
【date:2015.10.24】
一人の男がバーのオーナーになるまで。 その18
【date:2015.10.21】